前回、何気ないところですが、重要と書いた点の続きになります。(^_^;)
やはり賢いC++、デフォルトのコピーコンストラクタでもメンバ変数のコピーをしてくれます。
それでも、コピーコンストラクタを定義しなければいけない場合というのがあります。
メンバにポインタ変数が含まれる場合に、次のような問題が起こってしまうのです。
次のような例を見てください。
class Person {
public:
Person() {
m_pName = new(std::nothrow) char[32];
}
~Person() {
if (m_pName != NULL) {
delete [] m_pName;
m_pName = NULL;
}
}
: //このままコピーコンストラクタを用意しないでいると...
private:
char *m_pName; //ここにポインタのメンバ変数があります
};
int main(void)
{
Person *psn1 = new(std::nothrow) Person;
//psn2 の初期化 デフォルトのコピーコンストラクタを呼び出します
Person *psn2 = new(std::nothrow) Person(*psn1);
:
if (psn1 != NULL) { delete psn1;
psn1 = NULL;
}
if (psn2 != NULL) {
delete psn2; //2つ目のオブジェクトを削除しようとすると
psn2 = NULL; //実行時エラーが発生してしまいます(>_<)
}
:
実行例
# ./test
*** glibc detected *** ./test: double free or corruption (fasttop): 0x00728018 ***
中止
これは、デフォルトのコピーコンストラクタを使用したからなのですが、なぜ double free となってしまったのでしょうか?
実はpsn1オブジェクトの m_pName と psn2オブジェクトの m_pName のポインタが指し示す
先が同じだからです。
psn1オブジェクトを削除したときに、m_pNameの指し示す先のメモリ領域も削除されました。
そのため、psn2オブジェクトの m_pName が参照するエリアがなくなってしまい
プログラムが異常終了していたのです。
では、先ほどのサンプルにコピーコンストラクタを用意し、
エラー終了しないよう改造してみます。
#include <iostream>
#include <string.h>
class Person {
public:
Person() {
m_pName = new(std::nothrow) char[32];
}
Person(const Person &psn); //コピーコンストラクタを宣言します
~Person() {
if (m_pName != NULL) {
delete [] m_pName;
m_pName = NULL;
}
}
private:
char *m_pName;
};
//コピーコンストラクタを定義します^^
Person::Person(const Person &psn)
{
//人名は31文字までと勝手に決めています(^_^;)
m_pName = new(std::nothrow) char[strnlen(psn.m_pName, 31)+1];
strncpy(m_pName, psn.m_pName, strnlen(psn.m_pName, 32));
}
int main(void)
{
Person *psn1 = new(std::nothrow) Person;
//psn2 の初期化 定義したコピーコンストラクタを呼び出します
Person *psn2 = new(std::nothrow) Person(*psn1);
if (psn1 != NULL) {
delete psn1;
psn1 = NULL;
}
if (psn2 != NULL) {
delete psn2;
psn2 = NULL;
}
return 0;
}
ちなみに、このプログラム実行しても、何も表示しないで終了します。(^_^;)
正しく動作するようにはなりましたので、気が向いたらSetName, GetName関数
など追加して試してみてください。
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